「諦めないために諦める」 人生は”諦め”とトレードオフの積み重ね

”諦めないために諦める”

この一言には、この本の伝えたいことのすべてが詰め込まれています。

日本人は”諦める”ということばにネガティブなイメージを持っています。

だから、見込みがないこともなかなかやめられない。次の一歩が踏み出せません。

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人生は”諦め”とトレードオフの積み重ね

この本は、”諦める”ということばが、いかに前向きなことばであるのか、その意味の大切さを私達に伝えてくれます。こういった意識の転換や価値観の変化というのは非常に重要です。でないと人は一向に成長していくことができませんからね。

「諦める」という言葉の語源は「明らめる」だという。

そもそも、諦めるという言葉は、もともとは「何かを断念する」という意味ではなく、「あきらかにする」「つまびらかにする」という意味を持ちます。それがいろんな場面で使われて、いつのまにか現在に至るまでに、少しずつ言葉の意味が変わっていき、いつしかネガティブな解釈に変化していきました。

ですが、「諦める」とは、決して「終わる」や「逃げる」といった意味ではないのです。

私が前の仕事を辞めた時、すごく後ろめたさを感じていました。”とにかく就職しなければ”という強迫的にも感じる何かに襲われながら、地方大学生だったので数十万もの交通費につぎ込み、やっと手にした就職先で下からね。

しかし、人々から露呈的に評価され続ける耐え抜いた日々のことを思うと、たった半年でせっかく就いた仕事を諦めるということには、非常に後ろめたさを感じるものでした。

しかし、本書の中にはこのようなことが述べられていました。

人生とはこうしたトレードオフの積み重ねである。スポーツでのランキングを上げようと粘ることが、別の人生の可能性のランキングを下げてしまうこともある。このジレンマを解決するには自分の中における優先順位を決めるしかない。自分にとって一番大切なランキングは何かを決めるのだ。

つまり、諦めずに粘り続けることは、他の可能性の犠牲の上に成り立っているということです。

例えば、ある人が歌手になりたくて毎日練習し沢山のオーディションを受けたとしましょう。ですが、結果はどれもダメでした。しかし、その人はアルバイトでなんとか生活しつつ、諦めずに歌手になるための活動を何年も頑張り続けました。

”諦めない”ことに美徳を感じる日本人がこの話を聞くと、夢に向かって頑張っていると単純に感心するはず。私自身も諦めずに頑張ることは純粋にすごいと感じます。ですが、それと同時にとてつもないリスクも感じるんですよ。

というのも、その人がもし歌手になることができなかったらどうなるのでしょうか。何年も活動を続けていて歌手になることができなかったのは、その人にそれ相応の才能がなかったからとも考えられます。歌手になるためにつぎ込んだ時間を他の才能につぎ込んでいたら、その人の人生は全く別のものになっていたかも知れないんです。

つまり、”諦めずに続ける”という選択をした時点で、”他の何かを諦める”という選択をしているともいえるのです。

逆に言えば、”諦める”という選択をした時点で、”他の何かを諦めない”という選択をしているとも言えます。

それなのに、”諦める”という言葉にネガティブなイメージや抵抗を覚える人がいます。私も以前はそうでしたが、非常にもったいないことだと思うんです。

一つのことだけを続けるよりかは、いろんなことをやってみて自分にしっくりくるものに続ける方が、よほど人生の選択肢は広がるはずです。そうやって、自分にとっての一番大切なランキングを見つけていく方が圧倒的に楽だし楽しくなります。

しかし、こんなことを言うと、「諦めずに続けたからこそ成功した人もいる」という方がいます。

確かに、先ほどの例でたとえると、諦めなかったからこそを夢をかなえられて歌手になった人はたくさんいます。ですが、「諦めなかったから歌手になれた人」と「諦めずに続けたけれど歌手になれなかった人」では、絶対数は明らかに後者が多いはず。

少し頭を使って考えてみると、このように諦めないということは非常にリスクをはらんでいるのに、どうして”諦めない”ということに美徳を感じる人がこれほどまでに多いのでしょうか。

それはテレビや雑誌などのメディアが特集を組んだりして、その人がいかに諦めないことでその道に進むことができたのかをエピソード化して”諦めない”ことが素晴らしいことだと伝えているからだと思うんです。

「諦めなかったから○○になれた」という話は人々の心を揺さぶるエピソードになります。だからこそ、”諦めない”ことが素晴らしいとイメージが付いているのではないでしょうか。

日本では「努力は報われる」「成功しないのは努力が足りないからだ」「諦めずに続けることに意味がある」という美徳やきれいごとを好む傾向があります。見切りをつけて辞めるということに、非常に悪いイメージを持っています。

このような一般認識で縛られたがんじがらめの社会の中では、「諦める」ということのハードルがどんどん高くなってしまいます。

ですが、「諦める」ということは、決して悪いことではないのです。

わたしの場合、その会社で働くことを諦めたからこそ、今こうして本を読んだり、ブログを書いたり、動画を作ったりして、「正社員を続けている自分」とは別の自分に投資する時間を持つことができています。

今だからこそ言えることですが、はっきり言って、あの時病気になって会社を辞めて良かったとも感じるほどです。年齢を重ねてからでは選択肢の幅はどんどん狭くなり、自分の可能性が低くなってしまいますからね。

この本を読んで”諦め”ということばは、決してネガティブなものだけではなかったことに気づかされました。

多くの人は、手段を諦めることが諦めだと思っている。だが、目的さえ諦めなければ、手段は変えてもいいのではないだろうか。 

私はこの言葉ににひどく共感を覚えました。

そもそも、私が正社員として働いていた目的は、経済的不安からの解放、そして自己の成長です。

会社を辞めたからと言って、経済的不安からの解放を諦めたわけではないし、自己の成長も諦めたわけではありません。

「目的さえ諦めなければ、手段は変えてもいい。」

一見、ひどくずる賢いように聞こえますが、わたし達に与えられた”優しさ”なのではないのでしょうか。

自分に合わないことで努力するより、自分に合うことで努力する方が明らかにカンタンですし、なによりうまくいくなら純粋に楽しいはずです。

前者が100の苦痛を味わうところを、後者なら30の苦痛かそれ以下で済むのです。こう考えると、逆に諦めずに粘ることがあまり良い事のようには思えません。

日本人はそこに美学を求めますが、現代の生き方としては非常に不向きな道徳観なのではないでしょうか。

この本は、”諦める”ということに後ろめたさやネガティブなイメージを持っている人にこそ読んで欲しいです。

諦めることで新たな一歩を後押ししてくれる一冊。そう言える本です。

前向きに、諦める――そんな心の持ちようもあるのだということが、この本を通して伝わったとしたら本望だ。

「前向きに、諦める」という考え方、わたしには十分伝わりました。

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コメント

  1. 高瀬浩司 より:

    物凄く感銘しました。
    私のブログで記事と本を紹介させてください。
    本、読んでみたいです。

  2. 匿名 より:

    入社してすぐ会社を辞めたことを引きずりすぎな気がします。
    世間一般の評価では入社して3年未満に辞める人は低評価に値します。
    これは誰が決めたとかではなく、一般論として世間に蔓延しているので今更どうこう言っても無駄なだけです。
    履歴書には一生残ります。
    とりあえず自分一人の力で生きてみましょう。
    自立すれば分からない事、見えない事が分かるようになりますよ。

  3. 匿名 より:

    日本は根性とか情熱とかいう言葉大好きですよね、そういうのもいいですけど押し付けないで欲しいものです

  4. O より:

    この本 買おうか

    結構悩んでたんです

    今度 買ってみます

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